アメリカ駐在が決まった後、実務上かなり大きな山になるのが本人と家族の米国ビザ取得です。会社や移民弁護士が大部分の書類を準備してくれるケースが多い一方で、DS-160の確認、面接予約、当日の大使館訪問、パスポート返送の確認は本人側でも把握しておく必要があります。
ビザ発給後、実際にアメリカへ入る日の流れは、アメリカ駐在の入国審査ガイドで、I-129S、I-797、I-94、空港で聞かれやすい質問まで確認できます。
この記事では、アメリカ駐在員と帯同家族が日本で米国ビザ面接を受ける前提で、予約から面接当日、面接後の流れまでを整理します。ビザの種類は会社・職種・赴任形態によって異なるため、最終判断は必ず会社の人事・移民弁護士・米国大使館/領事館の公式案内に従ってください。
先に結論:駐在ビザは「会社が準備してくれるから大丈夫」と思いがちですが、本人・配偶者・子どもそれぞれのDS-160、面接予約、パスポート、当日の持ち物制限、面接後の返送確認でつまずきやすいです。面接日は大きなバッグやPCを持って行かず、必要書類だけで動ける状態にしておくのが安全です。
駐在員の米国ビザは、まず会社がビザ種別を決める
アメリカ駐在で使われるビザは、会社内転勤のLビザ、日米間の貿易・投資に関係するEビザ、専門職のHビザなど、赴任形態によって変わります。配偶者や子どもは、主たる駐在員に紐づく家族ビザで申請するのが一般的です。
この部分は個人で判断するものではなく、通常は会社の人事部門、米国側の受入部署、移民弁護士が決めます。本人側でやるべきことは、会社から渡される案内を確認しながら、自分と家族の申請情報を正確にそろえることです。
| 項目 | 誰が主に対応するか | 本人が確認すべきこと |
|---|---|---|
| ビザ種別の判断 | 会社・移民弁護士 | 自分のビザ種別、家族のビザ種別を確認 |
| 会社側のサポート書類 | 会社・移民弁護士 | 面接当日に持参する原本/コピーを確認 |
| DS-160 | 本人・家族分を申請者側で確認 | 氏名、パスポート番号、渡航目的、勤務先情報の誤りを避ける |
| 面接予約 | 会社または本人 | 家族を同じ予約に含めるか、予約日時、場所を確認 |
| 面接当日 | 本人・家族 | 必要書類、持ち込み制限、子どもの同行要否を確認 |
駐在員に多い米国ビザの種類と違い
アメリカ駐在でよく出てくるのは、L-1/L-2、E-1/E-2、H-1B/H-4あたりです。会社の業種や米国法人との関係、本人の職務、赴任期間によって使われるビザが変わります。駐在員本人がビザ種別を自分で選ぶものではありませんが、自分のビザが何を前提に発給されているかを理解しておくと、面接での説明や家族の手続きがかなり楽になります。
| ビザ種別 | 主な対象 | 家族のビザ | 駐在員目線のポイント |
|---|---|---|---|
| L-1A | 同一企業グループ内で米国へ転勤する管理職・役員クラス | L-2 | 日本本社・海外子会社・米国法人間の社内転勤で使われやすい。管理職としての職務説明が重要。 |
| L-1B | 同一企業グループ内で米国へ転勤する専門知識を持つ社員 | L-2 | 製品、技術、社内システム、業務ノウハウなど、会社固有の専門知識を説明できるかが重要。 |
| E-1 | 日米間の貿易に関係する企業・社員 | E配偶者/子ども | 商社、メーカー、物流、サービス取引など、日米間の継続的な取引が背景になることがある。 |
| E-2 | 米国への投資・現地事業運営に関係する企業・社員 | E配偶者/子ども | 日本企業の米国子会社、現地拠点運営、投資・事業展開に関わる赴任で出やすい。 |
| H-1B | 専門職として米国企業に雇用される人 | H-4 | 駐在というより米国雇用の専門職で使われることが多い。抽選・雇用主スポンサーなど、L/Eとは性格が違う。 |
| O-1 | 科学、ビジネス、芸術、教育、スポーツ等で高い実績を持つ人 | O-3 | 一般的な駐在員では多くないが、研究者、専門家、経営人材などで検討されることがある。 |
| B-1 | 短期の商用出張、会議、契約交渉など | 原則として家族帯同の駐在用ではない | 米国で就労するための駐在ビザではない。短期出張と駐在を混同しないことが重要。 |
日本企業の駐在で特に多いのは、社内転勤のL-1と、日米間の貿易・投資に関係するE-1/E-2です。L-1は「同じ企業グループ内で米国に転勤する」性格が強く、Eビザは「日米間の貿易・投資関係を背景に、米国事業を運営する」性格が強いです。
家族については、L-1の家族はL-2、H-1Bの家族はH-4、O-1の家族はO-3というように、主たる申請者のビザに紐づく分類になります。配偶者の就労可否や手続きはビザ種別と制度変更の影響を受けるため、会社・弁護士に最新確認してください。
面接前に確認したいこと:自分のビザ種別、配偶者・子どものビザ種別、米国での役職、赴任期間、給与の支払元、米国法人との関係。この5点は、会社のサポートレターと矛盾しない形で説明できるようにしておくと安心です。
全体の流れ:内示後からビザ付きパスポート返却まで
細かい順番は会社の手配方法で変わりますが、一般的な流れは次の通りです。
- 会社がビザ種別と申請方針を決める
赴任先、役職、職務内容、雇用主、赴任期間をもとに、会社側で申請方針を決めます。 - 本人・家族のパスポート情報を確認する
パスポート残存期間、氏名表記、家族分のパスポート有無を確認します。子どものパスポート更新が必要な場合は早めに動きます。 - DS-160を本人・家族それぞれ作成する
米国ビザ申請では、子どもを含めて各申請者ごとにDS-160が必要とされています。面接予約にもDS-160確認番号が使われるため、番号の入力ミスは避けてください。 - ビザ申請料金の支払い・面接予約を行う
予約システムでプロファイルを作り、申請者情報を登録し、必要に応じて家族を追加します。会社が代行する場合でも、予約日時と持参書類は本人が必ず確認します。 - 米国大使館・領事館で面接を受ける
東京の米国大使館のほか、案内された領事館で面接することもあります。本人だけでなく、配偶者・子どもの扱いも予約時の案内に従います。 - 承認後、パスポート返却を待つ
ビザが発給される場合、通常はパスポートを預け、ビザ貼付後に指定方法で返却されます。追加審査や追加書類になることもあるため、渡航日は余裕を持って設定します。
駐在準備全体の時系列は、アメリカ駐在が決まったら最初にやること90日チェックリストで整理しています。この記事は、その中でも「ビザ面接」に絞った実務ガイドです。
DS-160と面接予約で注意すること
DS-160は、米国非移民ビザ申請で使うオンライン申請書です。公式案内では、子どもを含む全申請者がそれぞれDS-160を作成する必要があるとされています。
駐在員本人だけでなく、配偶者・子どもも申請者です。家族分の情報をまとめて入力する感覚ではなく、各人のDS-160確認ページを印刷・保存する前提で進めてください。
| つまずきやすい点 | 注意点 |
|---|---|
| DS-160確認番号の入力ミス | 予約に使う番号です。間違えると申請が受理されない、予約修正が必要になる可能性があります。 |
| 家族分のDS-160漏れ | 配偶者・子どももそれぞれ確認ページが必要です。 |
| 会社情報の不一致 | 勤務先名、米国側住所、役職、赴任予定期間は会社書類と整合させます。 |
| 旧姓・別名・過去の米国渡航歴 | 事実ベースで正確に入力します。迷う場合は会社/弁護士に確認します。 |
面接予約は、米国ビザ申請サイト上またはコールセンター経由で行う案内になっています。予約時にはDS-160確認番号が必要になるため、先に本人・家族分のDS-160を整えておくと進めやすいです。
面接当日に持っていく書類
必要書類はビザ種別で変わります。会社が準備する書類一式がある場合でも、本人側では次のようなものを確認しておきます。
- 現在有効なパスポート
- 過去のパスポート、過去の米国ビザがある場合の資料
- DS-160確認ページ(本人・家族分)
- 面接予約確認書
- 規定に合う証明写真(必要な場合)
- 会社から渡されたサポートレター、雇用証明、赴任内容の説明資料
- I-797など、ビザ種別によって必要な許可通知・申請書類
- 家族関係を示す書類(配偶者・子どもが同行する場合)
- 会社・弁護士から指定された追加書類
- U.S. Department of State:Temporary Worker Visas
- U.S. Department of State:Treaty Trader / Treaty Investor Visas
- USCIS:L-1A Intracompany Transferee Executive or Manager
- USCIS:L-1B Intracompany Transferee Specialized Knowledge
注意:「会社が準備してくれる」と「当日何も確認しなくていい」は別です。会社から渡された書類の中に、本人・配偶者・子どものパスポート番号や氏名表記が入っている場合は、面接前に必ず確認してください。
大使館では何をするのか
東京の米国大使館で面接を受ける場合、当日は大まかに次のような流れになります。実際の運用は時期や混雑状況によって変わります。
- 予約時間に合わせて大使館へ向かう
- 入口で予約確認・セキュリティチェックを受ける
- 書類確認を受ける
- 指紋採取を行う
- 窓口で領事との面接を受ける
- 承認の場合はパスポートを預け、返送または受領場所での受け取りを待つ
面接は個室で長く話すというより、窓口で短時間の質疑を受けるイメージです。ただし、仕事内容や会社の説明が曖昧だと確認が長くなることがあります。会社から渡されたサポートレターの内容を、本人が自分の言葉で説明できる状態にしておくと安心です。
面接で聞かれやすいこと
質問内容はビザ種別や申請者の状況によって変わりますが、駐在員の場合は次のような確認が中心になりやすいです。
| テーマ | 聞かれやすい内容 | 準備しておく答え方 |
|---|---|---|
| 勤務先 | どの会社で働いているか、米国ではどの会社・拠点に行くか | 日本側会社名、米国側会社名、勤務地を正確に言えるようにする |
| 仕事内容 | 米国で何を担当するのか | 役職名だけでなく、実際の業務内容を簡潔に説明する |
| 赴任期間 | どれくらい米国に滞在する予定か | 会社の赴任予定期間と整合させる |
| 給与・費用負担 | 誰が給与を払うのか、生活費は誰が負担するのか | 会社の説明と矛盾しないように答える |
| 家族 | 配偶者・子どもとの関係、同行目的 | 家族関係を示す書類と整合する説明にする |
| 過去の渡航歴 | 米国渡航歴、過去のビザ、滞在超過の有無 | 事実を正確に答える |
配偶者や子どもが同行する場合、主たる申請者である駐在員本人への質問が中心になることが多いです。ただし、配偶者にも「米国で何をする予定か」「どこに住む予定か」などを聞かれる可能性はあります。子どもについては、年齢や当日の運用により扱いが変わるため、予約時の案内を確認してください。
家族分の申請で気をつけること
家族帯同の場合、本人だけでなく配偶者・子どものビザも必要です。公式案内では、子どもを含めて各申請者ごとにDS-160が必要です。一方で、年齢や条件によっては子どもの面接が免除される場合があります。
ここで大事なのは、「子どもは行かなくてよいはず」と自己判断しないことです。予約システム上の案内、会社の指示、米国大使館/領事館の最新案内を確認し、家族全員の扱いを面接前に確定させてください。
当日の持ち込み制限:大きなバッグ・PCは避ける
米国大使館・領事館はセキュリティが厳しく、持ち込み禁止物や入館時の検査があります。公式サイトでも、来館前の注意事項として禁止物やアクセス方法が案内されています。
当日は、必要書類をクリアファイルや薄いフォルダにまとめ、不要な荷物を持たないのが基本です。特に、スーツケース、大きなバッグ、ノートPC、タブレット、危険物になり得るものは避けてください。電子機器やバッグの扱いは変更される可能性があるため、面接前日に必ず公式の「ご来館前の注意事項」を確認します。
大使館には荷物保管場所がない前提で動いた方が安全です。会社帰りや出張移動のついでに行く場合でも、PCや大きな荷物を持ったまま向かわないようにしてください。
コインロッカーは溜池山王駅・国会議事堂前駅を事前確認
東京の米国大使館へ行く場合、公式案内では最寄り駅として、銀座線・南北線の溜池山王駅、丸ノ内線・千代田線の国会議事堂前駅が案内されています。14番出口から徒歩5分程度です。
荷物を預けるなら、第一候補は溜池山王駅または国会議事堂前駅のコインロッカーです。東京メトロ公式サイトには駅別のコインロッカー案内ページがあります。ただし、駅ロッカーは空き状況・設置場所・工事で変わるため、面接前日に東京メトロの駅案内で場所を確認し、当日は時間に余裕を持って向かうのが現実的です。
| 候補 | 使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 溜池山王駅のコインロッカー | 銀座線・南北線で向かう場合の第一候補 | 14番出口方面へ向かう前に駅構内で確認 |
| 国会議事堂前駅のコインロッカー | 丸ノ内線・千代田線で向かう場合の候補 | 溜池山王駅と地下でつながるため、乗換導線も確認 |
| 赤坂駅・虎ノ門駅周辺 | 最寄り駅のロッカーが満杯だった場合の予備 | 大使館まで少し歩くため、面接時間に余裕が必要 |
| ホテル・勤務先 | PCやスーツケースがある場合の最優先候補 | 大使館周辺まで持って行かない方が安全 |
小さな子ども連れの場合も、ベビーカーや大きな荷物の扱いは事前確認が必要です。面接当日は「書類を持って身軽に入館する」前提で予定を組むと、入口で慌てずに済みます。
面接後の流れ:承認でもその場でパスポートは戻らない
面接でビザが承認される場合、通常はパスポートを預け、ビザが貼付された後に返却されます。返却方法は、予約システム上で指定した配送または受領方法に従います。
注意したいのは、面接が終わった日からすぐ海外出張や旅行に行く予定を入れないことです。パスポートが手元にない期間が発生します。また、追加審査、追加書類、いわゆるAdministrative Processingになる可能性もゼロではありません。
- パスポート返却予定を確認する
- 家族全員分のパスポートが返却されたか確認する
- ビザ面の氏名、生年月日、ビザ種別、有効期限を確認する
- 航空券の確定は、できればパスポート返却後に行う
- 米国入国後はI-94の内容も確認する
- U.S. Department of State:Temporary Worker Visas
- U.S. Department of State:Treaty Trader / Treaty Investor Visas
- USCIS:L-1A Intracompany Transferee Executive or Manager
- USCIS:L-1B Intracompany Transferee Specialized Knowledge
駐在準備の中で、ビザ面接はどこに置くべきか
ビザ面接は、駐在準備の中でも「会社主導」と「本人対応」が混ざる部分です。自分で勝手に進める必要はありませんが、会社任せにしすぎると、家族分のDS-160、面接当日の持ち物、パスポート返却後の確認で抜けが出やすくなります。
流れとしては、まず90日チェックリストで全体像を把握し、並行して日本側の銀行・証券・住所・保険・税金手続きを進めます。渡米後は、渡米直後1週間チェックリスト、SSN取得ガイド、アメリカ駐在の家探しガイドにつなげると、準備の順番が崩れにくくなります。
よくある質問
会社が全部やってくれるなら、本人は何を確認すればいいですか?
本人・家族のパスポート、DS-160確認ページ、面接予約確認書、会社から渡された書類一式、当日の持ち込み制限、面接後のパスポート返却方法は確認しておくべきです。特に氏名表記とパスポート番号はミスがあると面倒です。
家族も面接に行く必要がありますか?
ビザ種別、年齢、申請時点の条件で変わります。子どもの面接免除に該当する場合もありますが、自己判断は避け、予約システム、会社、米国大使館/領事館の最新案内に従ってください。
面接は英語ですか?
英語で聞かれる可能性はあります。駐在員本人は、勤務先、仕事内容、赴任期間、米国での役割を簡潔に説明できるようにしておくと安心です。難しい表現より、会社書類と矛盾しない正確な説明が大事です。
大使館にPCや大きなバッグを持って行ってもいいですか?
避けた方が安全です。持ち込み禁止物や検査ルールは公式サイトで案内されており、荷物保管場所がない前提で準備すべきです。PC、タブレット、スーツケース、大きなバッグは駅ロッカー、ホテル、勤務先に預けてから向かうことをおすすめします。
参考にした公式情報
- USTravelDocs Japan:DS-160情報
- USTravelDocs Japan:面接の予約をする
- USTravelDocs Japan:パスポートを追跡する / パスポート・ビザ受領場所
- USTravelDocs Japan:子どものビザ申請に関する案内
- 在日米国大使館・領事館:ご来館前の注意事項
- 東京メトロ:溜池山王駅 コインロッカー
- U.S. Department of State:Temporary Worker Visas
- U.S. Department of State:Treaty Trader / Treaty Investor Visas
- USCIS:L-1A Intracompany Transferee Executive or Manager
- USCIS:L-1B Intracompany Transferee Specialized Knowledge

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