アメリカ駐在の入国審査ガイド|I-129S・I-797・I-94と空港で聞かれること

アメリカ駐在で空港の入国審査に向かう家族と書類フォルダの写真風イメージ

アメリカ駐在のビザが発給されても、最後にもう一つ不安になりやすいのが米国到着時の入国審査です。空港ではパスポートとビザを見せるだけで終わることもありますが、ビザ種別によってはI-129S、I-797、会社書類などを確認されることがあります。

この記事では、駐在員本人、配偶者、子どもがアメリカに入国するときに、空港で何を出すのか、何を聞かれやすいのか、入国後に何を確認すべきかを整理します。実際の必要書類はビザ種別・会社の申請方法で変わるため、最終的には会社、人事、移民弁護士、CBP/USCIS/米国大使館の最新案内に従ってください。

先に結論:駐在員の初回入国では、パスポートとビザに加えて、会社から渡されたI-129S、I-797、サポートレター、家族関係書類をすぐ出せる状態にしておくのが安全です。特にLブランケットでL-1入国する場合、I-129Sの扱いは重要です。

目次

まず前提:ビザは「入国許可」そのものではない

米国ビザは、米国に渡航して入国審査を受けるための書類です。実際に米国へ入国できるか、どのステータスでいつまで滞在できるかは、空港などのPort of EntryでCBP(米国税関・国境警備局)の審査を受けて決まります。

つまり、ビザ面接で承認された後も、入国時には「この人はどの資格で、何の目的で、どれくらい米国に滞在するのか」を確認されます。駐在員の場合は、観光客よりも勤務先、役職、赴任期間、家族の帯同関係を確認されやすいです。

ビザ面接の準備段階は、先にアメリカ駐在ビザ面接の流れで整理しています。この記事は、その次の「実際にアメリカへ入る日」の話です。

入国審査で手元に出せるようにする書類

すべての人に同じ書類が必要なわけではありません。ただし、初回赴任時は、会社から渡されたビザ関連書類を預け荷物に入れず、機内持ち込みの書類フォルダにまとめておくべきです。

書類誰が持つか注意点
パスポート本人・家族全員ビザ貼付ページ、有効期限、氏名表記を確認
米国ビザ本人・家族全員ビザ種別、氏名、生年月日、有効期限を渡航前に確認
I-129S主にLブランケットのL-1本人Lブランケットで使う重要書類。会社・弁護士から渡された場合は必ず手荷物へ
I-797 petition-based のL/H/O等で必要になることがある承認通知。原本/コピーの扱いは会社・弁護士の指示に従う
会社のサポートレター駐在員本人勤務先、役職、勤務地、赴任期間、給与支払元を説明する補助資料
雇用証明・赴任辞令駐在員本人会社から渡された場合は持参
婚姻・出生関係書類配偶者・子ども帯同の場合家族関係を確認される可能性に備える。英訳の要否は会社に確認
米国滞在先住所本人・家族ホテル、仮住まい、会社手配住宅など、最初の滞在先を答えられるようにする

注意:ビザ関連書類をスーツケースに入れて預けるのは避けてください。入国審査は荷物を受け取る前に行われることが多いため、必要書類は必ず機内持ち込みに入れます。

I-129Sとは何か:Lブランケットの人は特に注意

I-129Sは、USCISの公式説明では、承認済みのBlanket L Petitionに基づいて、外国人社員をL-1の社内転勤者として分類するための書類です。ざっくり言うと、会社グループとして包括的なLビザ枠を持っている場合に、個別の社員がその枠でL-1として入るための書類です。

すべてのL-1駐在員が同じ形でI-129Sを使うわけではありません。会社が個別にI-129を出してI-797承認通知を受けているケースもあります。そのため、自分のケースで何を持つべきかは、会社や移民弁護士から渡された書類リストを確認してください。

ただし、会社からI-129Sを渡されているなら、入国審査で見せる可能性がある書類として、パスポートと一緒にすぐ出せる状態にしておくのが安全です。

空港到着後の流れ

米国到着後の大まかな流れは次の通りです。空港や時間帯によって順番・呼び方は変わります。

  1. 飛行機を降り、入国審査エリアへ進む
  2. 家族で同じブースに行くか、係員の案内に従う
  3. パスポートとビザを提示する
  4. 必要に応じてI-129S、I-797、会社書類を提示する
  5. 顔写真・指紋などの確認を受ける
  6. 入国目的、勤務先、滞在先、赴任期間などの質問に答える
  7. 入国が認められたら、預け荷物を受け取る
  8. 税関を通過する
  9. 入国後、I-94をオンラインで確認する

質問が短く終わることもありますが、初回赴任時は書類確認や追加質問で時間がかかることもあります。乗継便がある場合は、入国審査と荷物再預けに時間がかかる前提で、乗継時間に余裕を持たせた方が安心です。

駐在員本人が聞かれやすいこと

駐在員本人は、米国で働く主たる申請者です。次のような質問を想定しておくと落ち着いて答えやすくなります。

質問されやすいこと答える内容の例注意点
What is the purpose of your visit?米国法人への駐在、社内転勤、米国拠点での勤務観光ではなく、ビザ種別に合う説明にする
Who is your employer?日本側会社名、米国側会社名会社書類と同じ名称で答える
What will you do in the U.S.?役職、担当業務、管理職/専門知識/米国事業運営など職務内容を短く具体的に説明する
Where will you work?州、都市、オフィス所在地滞在先住所と勤務地を混同しない
How long will you stay?赴任予定期間ビザの有効期限ではなく、会社の赴任予定を答える
Who pays your salary?日本本社、米国法人、または会社の給与設計会社のサポートレターと矛盾しないようにする

大事なのは、難しい英語で長く話すことではありません。会社書類と矛盾しない内容を、短く、正確に答えることです。職務内容を日本語でしか説明できない状態だと焦るので、英語で2〜3文の説明を用意しておくと安心です。

妻・夫が聞かれやすいこと

配偶者は、主たる駐在員に帯同する家族として入国します。本人ほど細かく業務内容を聞かれないことも多いですが、次のような確認はあり得ます。

  • 駐在員本人との関係
  • 米国でどこに住む予定か
  • どれくらい滞在する予定か
  • 米国で働く予定があるか
  • 子どもと一緒に帯同するのか

配偶者が働けるかどうかはビザ種別や制度により異なります。入国審査で余計な誤解を生まないためにも、働く予定が未定なら「現時点では帯同家族として入国する」といった事実ベースの説明に留めるのが安全です。

子どもが聞かれやすいこと

小さな子どもにはほとんど質問されないこともあります。年齢が高い子どもであれば、簡単な確認として次のようなことを聞かれる可能性があります。

  • 誰と一緒に来たのか
  • アメリカで学校に行く予定か
  • どこに住む予定か
  • どれくらい滞在する予定か

子どもが緊張して答えられない場合でも、親が補足できることが多いです。ただし、家族関係を示す書類、家族全員分のパスポート・ビザ、滞在先情報はすぐ出せるようにしておきましょう。

Secondary Inspectionに呼ばれることもある

書類確認に時間がかかる場合や、ビザ種別・I-129S・I-797の確認が必要な場合、別室や別カウンターで追加確認を受けることがあります。これは必ずしも問題があるという意味ではありません。

呼ばれた場合は、会社から渡された書類を落ち着いて出し、聞かれたことにだけ正確に答えます。家族連れの場合、配偶者や子どもが不安になりやすいので、事前に「書類確認で少し待つことがある」と共有しておくとよいです。

入国後はI-94を必ず確認する

入国が認められると、非移民の入国記録としてI-94が作成されます。現在は多くの場合、紙のI-94ではなくオンラインで確認します。CBP公式サイトでも、外国人訪問者は紙のI-94を記入する必要がなくなっている旨が案内されています。

入国後は、CBPのI-94サイトで自分と家族全員分の記録を確認してください。特に見るべきなのは、氏名、入国日、Class of Admission、Admit Until Dateです。

確認項目見る理由
Class of AdmissionL-1、L-2、E-2、H-1B、H-4など、正しいステータスで入国しているか確認
Admit Until Date米国に滞在できる期限。ビザの有効期限とは別物
氏名・生年月日SSN、免許、会社手続きで不一致があると面倒
家族分配偶者・子どももそれぞれ確認が必要

ビザの有効期限とI-94の滞在期限は同じとは限りません。米国で合法的に滞在できる期限は、実務上I-94のAdmit Until Dateが非常に重要です。誤りがある場合は、会社や移民弁護士に早めに相談してください。

入国時に避けたい答え方

入国審査では、事実と違うことを言わないのが大前提です。そのうえで、駐在員が特に避けたいのは次のような曖昧な答え方です。

  • 「観光です」と答える(就労ビザで駐在するのに目的がずれる)
  • 「よく分かりません」とだけ答える(会社書類を見せて説明できるようにする)
  • 赴任期間を会社書類と違う形で答える
  • 勤務先や勤務地を曖昧に答える
  • 配偶者の就労予定について、制度確認前に断定的に話す

英語が完璧である必要はありません。短く、正確に、書類と同じ内容を答えることが大事です。

到着後の流れにつなげる

入国が終わったら、次は生活立ち上げです。空港からホテル・仮住まいへ移動し、米国番号、銀行口座、SSN、家探し、クレジットヒストリー作りへ進みます。

到着直後の行動は、アメリカ駐在の渡米直後1週間でやることチェックリストにまとめています。SSNはSSN取得ガイド、家探しはアメリカ駐在の家探しガイド、クレジットカードは駐在員向けクレジットカード発行ロードマップへ進むと、順番が崩れにくいです。

ビザ・入国の次に進める準備

ビザや入国審査の準備が見えてきたら、渡米後すぐ必要になる生活基盤も並行して確認しておくと安心です。

参考にした公式情報

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