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マニュファクチャード・スペンディング(MS)とは?基本的な仕組みとリスク【初心者ガイド】

マニュファクチャード スペンディング MS

マニュファクチャード・スペンディング(MS)とは、実際にはお金を減らすことなくクレジットカードの利用額を人工的に作り出し、ポイントやマイルなどの特典を獲得する方法です​。例えば、クレジットカードの入会ボーナス条件を達成するために、現金同等物を購入して再び現金化し、カード利用額だけを稼ぐような手法がこれに当たります。正式な経済用語ではありませんが、ポイント・マイル愛好家の間で広く使われる専門用語です。

以下では、MSの基本的な仕組みと過去に実際に使われていた具体的手法、それに伴うリスクと事例、そして実施に当たっての注意点について解説します。

目次

MSの基本的な概念と仕組み

マニュファクチャード・スペンディングの概念:

MSは「お金を使わずにクレジットカードの支出を生み出すプロセス」と定義できます​。多くの場合、無料もしくはごく少額の手数料で換金可能な商品・サービスを購入し、それを現金化してカード代金の支払いに充てることで、実質的な支出なしにカード利用額(=ポイントやマイル加算)だけを発生させます。このプロセスにより、カード利用によるポイント獲得入会ボーナスの条件達成を、自己資金の持ち出しを最小限にして行うことができます。

典型的な仕組み:

MSの最も基本的な仕組みを一言でいうと「カードで買って、換金して、カードを支払う」というサイクルです​。具体的な流れの例を、以下に図解します。

換金性の高い商品の購入:

まずクレジットカードで換金しやすい商品やサービスを購入します。典型例はプリペイド式のギフトカードやマネーオーダー(為替証書)の購入です。たとえば、クレジットカードで額面$200のVisaギフトカードを購入します​。これにより、カードには$200の利用履歴が計上され、ポイントやマイルが獲得されます。

商品の現金化:

次に、購入したギフトカードやマネーオーダーを使って現金を手に入れます。ギフトカードであればそれを利用してマネーオーダー(送金用の為替)を購入したり、ギフトカードを換金可能なサービスに入金するなどの方法で、ギフトカードの残高を現金化します。先ほどの$200ギフトカードであれば、$200分のマネーオーダーを発行し、自分の銀行口座に入金します。

カード代金の支払い:

現金化して得た資金を用いて、クレジットカードの利用代金を支払います。上記の例では、ギフトカードを現金化して得た$200をそのままカード請求の支払いに充当します。

ポイント・マイルの獲得:

この一連の取引により、実質的にはお金を減らさずにカード利用によるポイントだけが残ります​。つまり、$200の支出があったように見せかけて、その分のリワードを得たことになります。

以上がMSの基本的な仕組みです。要は「カードで疑似的な支出を作り、その支出を現金に戻してカード支払いに充てる」ことで、ポイントやマイルを生み出すというわけです​。このような方法は、日常の出費では到底達成できない高額な利用条件(例: 数か月で数千ドル以上の利用)をクリアしたり、日常支出以上のポイントを稼ぐ目的で活用されます​。

補足: MSそのものは法律上必ずしも違法ではありません。しかし、後述するようにカード会社の利用規約には反する可能性が高く、慎重な取扱いが必要な行為です。また、現金化の方法によっては法律に抵触するケース(例えば銀行口座への不自然な分割入金はStructuringと見なされ違法​)もあるため注意が必要です。

過去に存在したが現在は塞がれた具体的なMS手法

マニュファクチャード・スペンディングは常に新しい方法が生まれては対策されてきた歴史があります​。ここでは、過去に有効だったものの現在は塞がれてしまった代表的なMS手法をいくつか紹介します。いずれも当時は画期的でしたが、「おいしすぎる」手法は長続きしない典型例でもあります。

米国造幣局による$1硬貨のクレジットカード購入

かつて米国では、造幣局が$1硬貨を額面価格で郵送販売しており、これをクレジットカードで購入できる時期がありました。ポイント狙いの人々はクレジットカードで大量の$1硬貨を購入→銀行に預け入れ→その現金でカード支払いという方法で、実質負担なくカード利用額とポイントを稼ぐことができたのです​。当時は送料も無料であったため、硬貨購入に伴うコストもゼロでした。その結果、何千ドル相当ものコインをカードで買っては預けるという極端なMSが横行しました。当然ながらこの抜け穴はすぐに問題視され、造幣局はクレジットカードで大量の硬貨を買えないよう対策を講じたため、この手法は現在では使えません​。

バニラ・リロードカード(Office DepotおよびCVS)とBluebird

バニラ・リロードカード(Vanilla Reload)とは、プリペイドカードやBluebirdなどの口座に入金(チャージ)できるリロード用カードです。2010年代前半、これはMSの花形手法でした。

Office Depotでの大量購入 (5倍ポイント):

当時、オフィス用品店のOffice Depotではバニラリロードカード(通称「V-Load」)をクレジットカードで購入できました。特にChase Inkカードのようにオフィス用品店で5倍ポイントが付与されるクレジットカードを使うと、$500分のリロードカード購入につき5倍のポイントが得られました(手数料は1枚あたり$3.95程度)。ほぼ手間なく大量のポイントを稼げる方法として注目されました​。しかし、この方法も広く知られるようになると、Office Depot側が損失に気づきクレジットカードでの購入を禁止したため、このルートは閉鎖されました​。

CVS薬局での購入とBluebirdへのチャージ:

CVSでは一時期、どのクレジットカードでもバニラリロードカードを購入可能だったのです。5倍ポイントこそ付きませんが、入会ボーナスの最低利用額消化には格好の手段でした。手順は簡単で、CVSでV-Loadカードを買い、それをBluebird(アメックスのプリペイド式オンライン口座)にチャージします。Bluebirdは手数料無料で、ここにチャージした資金を使ってクレカの請求支払い学生ローンや住宅ローン等の支払いが可能でした​。つまり、カードで購入→Bluebird経由で現金化→カード支払いというMSが完成したのです。なお、CVS経由のバニラリロードMSも現在は不可能です。

Amazon Paymentsによる送金

Amazon Paymentsは、かつてAmazonが提供していた個人間送金サービスです。2014年頃まで、毎月最大$1,000をクレジットカードで手数料無料にて友人に送金できる仕組みが存在しました​。MS愛好者はこれを利用し、例えば自分の別アカウントや家族・信頼できる友人に$1,000をクレジットカードで送り、受け取った側が同額を送り返すという方法で、実質コストゼロで毎月$1,000のカード利用&ポイント獲得を行っていました​。言うなればAmazonを介した現金のぐるぐる回しです。当然これは濫用が増えたために2014年に個人間送金サービス自体を終了しました​。

Target Redcard (通称: REDbird)

Target Redcardは、Targetとアメックスが提携し提供していたプリペイド式カードです。このカードは店頭でクレジットカードから直接チャージできるという画期的な特徴を持っていました。つまり、Targetで「Redcardに$2,500チャージしてください」と言ってクレカで支払うだけで、手数料なく$2,500分の残高を入手できたのです​。あとはその残高を使い小切手を発行したりすることで現金に戻すことができました。しかしこれも2015年にはRedcardへのクレジットカードチャージ機能が停止されました​。REDbirdは短命に終わったものの伝説的なMS手法として語り継がれています。

その他の過去の手法:

上記以外にも、アメリカンエキスプレスが提供した一部プリペイド口座(Serveカードへのクレジットカードチャージなど)、特定のショッピングポータルを経由したギフトカード購入による二重取り(手数料を上回るポイント還元)など、さまざまなMSテクニックが過去には存在しました。しかし多くはブログやフォーラムで知れ渡ると同時に「対策済み」となり、常に新たな方法を探すイタチごっことなっています​。最近ではフィンテック企業の新サービスが登場する度にMSへの転用が模索されますが、新手法も寿命は短く、すぐに消えては現れる状況です​。

現在でも可能なMS手法

かつての「夢のMS」と呼ばれた手法の多くは閉鎖されていますが、依然として一定の隙間を突く方法が存在します。以下は、現在でも検討可能なMSの手法です。

(1) 公共料金や大口支払いのカード支払い

  • 概要: 一部の公共料金、家賃、または教育費などは、第三者のサービスを介してクレジットカード支払いが可能です。
  • 詳細: たとえば、電気・ガス・水道などの公共料金や家賃は、専用のオンラインサービス(例:Plastiq)を利用してクレジットカード支払いが行える場合があります。これにより、通常は直接現金引き落としとなる支払いをカード経由で行い、ポイントを稼ぐことができます。ただし、手数料がかかるため、そのコストと獲得できるリワードをよく計算する必要があります。

(2) Plastiq(プラスティック)の活用

  • 概要: Plastiqは、クレジットカードを用いて通常はカード利用が認められない支払い(家賃、公共料金、授業料など)を行うための決済サービスです。
  • 詳細: Plastiqを通じて支払いを行えば、通常の利用枠を大きく稼ぐことが可能ですが、手数料が発生するため、入会ボーナスや高還元のカードでのみ採算が取るケースがほとんどです。また、Plastiq自体も利用状況によっては監視の対象となるため、慎重な運用が必要です。

(3) セルフチャージ型ギフトカードの限定利用

  • 概要: 一部、特殊な条件下でセルフチャージが可能なギフトカードが市場に存在する場合があります。
  • 詳細: 過去の例とは異なり、現在は非常に限定的ですが、購入後にその残高を部分的に現金として引き出すことができる場合もあります。しかし、こちらはカード会社や小売店の監視が非常に厳しく、少額での運用に留まるため、本格的なMS手法とは言い難い点に注意が必要です。

(4) オンライン決済プラットフォームを介した資金移動

  • 概要: 一部のオンライン決済サービスでは、クレジットカードを利用した送金や支払いが可能なケースがあります。
  • 詳細: これらを利用して自分自身への送金や、信頼できる第三者との取引で現金化する手法が試みられることもあります。ただし、これらの方法は利用規約に抵触するリスクが高く、早期に対策される可能性があるため、短期間で成果を上げることは難しいとされています。

注意: 上記の現行手法は、かつての大規模なMSに比べれば「ごく僅かな隙間」を突く形となっています。利用可能な方法は常に変動しており、今日安全と思われた手法が明日には使えなくなる可能性も非常に高いです。実行に移す際は、最新情報の収集と十分なリスク評価を必ず行ってください。

MSの主なリスクと注意点

マニュファクチャード・スペンディングには大きなリスクが伴います。初心者の方は特に、以下の点を十分認識しておかなければなりません。

クレジットカードの利用停止・強制解約:

カード会社は不自然な取引パターンを検知すると、アカウントを突然停止したり、強制的に解約することがあります。MSそのものは違法ではなくとも、カード会社から見ればマネーロンダリングや不正利用と見分けがつかない場合があるためです。例えば「毎月$200をカードで使ってすぐ$200を返す」を繰り返していれば、カード会社から見て極めて不審な挙動に映ります​。その結果、事前の警告なしに口座が凍結・閉鎖されることも珍しくありません。

獲得ポイント・マイルの没収:

不正な手段で獲得されたと判断されたポイントやマイルは、事後に没収(クラウバック)される可能性があります。特にアメリカン・エキスプレス(Amex)は近年ポイントプログラムの不正利用に厳しく、ギフトカード購入など現金同等物の購入で得たボーナスポイントを後から取り消す措置を取る例が報告されています。実際、あるAmexカード会員はスーパーマーケットで大量のギフトカードを購入したところ、「規約違反の支出」と見做され3万ポイントのボーナスを剥奪されたケースもあります​。このように、せっかく貯めたポイントが一瞬で消滅するリスクがある点は覚悟しなければなりません。

関連アカウントの一斉閉鎖:

一社で問題を起こすと、関連する全てのカードや口座がまとめて閉鎖されることがあります。例えばアメックスでは、一枚のカードで不正と判断されると同社発行の他のカードも全て利用停止になる場合があります。またChase(チェイス)などの大手銀行も、自社カードを複数枚持っている場合に一枚で疑わしい活動があると全カード口座を同時に閉じてしまうことがあります。その際、保有していたポイントもすべて無効になり、残高が没収されることもあります​。さらに一度強制解約されると、将来的にその会社のカードを二度と作れなくなる可能性も高く、大きなダメージとなります。

信用スコアへの影響:

クレジットカード口座が突然閉鎖されると、クレジットヒストリー上は利用可能額の大幅減少として扱われるため、信用スコア(クレジットスコア)に悪影響が及ぶ可能性があります。例えば前述のケースで8枚のカードを失ったブロガーは、合計$80,000分の与信枠が一夜にして消えました​。このような極端な例でなくとも、カード解約は信用報告に記載され、スコア低下や今後の審査にマイナスとなりえます。

金銭的損失のリスク:

MSの過程で購入したギフトカードやマネーオーダーを最後まで現金化できないリスクも考慮すべきです。例えば大量のギフトカードを抱えた状態で規制が変わったりアカウント停止になれば、手元に換金できないカードだけが残り、金銭的損失を被る恐れがあります。また、マネーオーダーを現金化する際の手数料や、ギフトカード購入手数料(通常購入額の約1%前後)は確実にコストとして発生します。不注意な運用をすると、これらコストが利益(得られるポイント価値)を上回り赤字になる危険もあります。

法的リスクと口座閉鎖:

告義務がありますが、それを避けるために預入額を細かく分割する行為(Structuring)は違法です。MSの現金化で頻繁に大口のマネーオーダーを預け入れていると、当局から事情確認を受けたり、最悪の場合銀行口座自体が凍結・解約される可能性も否定できません。またテロ資金供与防止や麻薬取引摘発の観点からも、銀行は怪しい動きを察知すると即座に措置を取ることがあります​。このように、MSは金融機関から疑わしい行為としてマークされやすい点にも注意が必要です。

以上のように、MSには様々なリスクが潜んでいます。「違法ではないから大丈夫」という認識は極めて危険であり、カード会社や銀行にとっては容認されない行為であることを肝に銘じてください​。一歩間違えれば経済的な損失や信用問題に直結するため、安易な考えで手を出すべきではありません。実際、専門家の中には「MSは家族も巻き込んで経済的破滅を招きかねない」と警鐘を鳴らす声もあります​。

MSが原因でアカウントがシャットダウンされた具体例

ここでは、実際にMS行為が原因でカードアカウントが閉鎖された事例をいくつか紹介します。いずれも海外で報告されたケースですが、MSのリスクが現実のものとなった例として参考にしてください。

ケース1: 複数のクレジットカードが一斉シャットダウン

複数のクレジットカードが一斉シャットダウン – アメリカの有名マイルブロガーであるAさんは、日常的に大規模なMS(ギフトカードの大量購入と銀行入金)を行っていました。その結果、バークレイズ銀行発行のクレジットカード8枚すべてが突然利用停止となり、一斉にアカウント閉鎖されてしまいました。このケースでは、ウォルマートのビルペイサービス(請求支払いにギフトカード等を利用できる機能)を多用していたことが引き金ではないかと推測されています。

ケース2: アメックスによる大量アカウント停止(2019年)

2019年前後には、アメックスが多数のカード会員のアカウントを一斉停止・解約する措置に踏み切りました。停止対象は主に自作自演の紹介プログラム悪用(セルフリファラル)や、入会ボーナス消化のためのギフトカード大量購入を行っていたユーザーでした。具体的には、自分で自分を友人紹介して紹介ポイントと入会ボーナスの両方を得る行為や、Amexオファー目的でのギフトカード購入などが問題視され、これらを頻繁に行っていた会員がアカウントを閉鎖されています​。この事例では、アカウント閉鎖と同時にポイントがすべて没収され、一部のユーザーはポイント残高がマイナスになる事態にまで発展しました。

ケース3: ボーナスポイントの剥奪(クローバック)

アカウントの閉鎖には至らなくとも、ポイントだけが後から取り消される例も多数報告されています。典型例として、あるAmexカード会員はスーパーマーケットで高額のVisaギフトカードを購入し、航空会社マイルのボーナスを獲得しました。しかし後日、Amex側から「ギフトカード購入はボーナス対象外の支出である」と判断され、獲得していたポイントが口座から差し引かれてしまったのです。他にも、「友人紹介ボーナスを不正に得たらポイントがマイナス残高になった」等、カード会社が不適切と見做したポイントは事後でも容赦なく回収される事例が相次いでいます​。

これらの事例から分かるように、MSは机上の理論ではなく実際に口座閉鎖やポイント没収という形でペナルティが下されている行為です。特にAmexやChaseのような大手カード会社は年々不正検知を高度化しており、「大量のギフトカード購入」「クレジット限度額の繰り返し超過利用」「複数口座間での送金の往復」などの挙動は即座に目を付けられると考えておいた方が良いでしょう​。

「自己責任」であることの注意喚起

以上の解説から明らかなように、マニュファクチャード・スペンディングは非常にリスクの高い行為です。カード会社の規約違反行為にも該当しうるため、基本的には推奨されません

  • カード会社に頼らない覚悟: カード会社は取引関係を終了できる権利を持っており、一度判断が下されたら覆すのは困難です​。最悪の場合、今後その会社のカードを永続的に持てなくなる可能性もあります。
  • 「ルールの抜け穴」を攻めすぎない: ポイントやマイルの世界では「規約の盲点」を突いた手法がしばしば語られますが、カード会社は常にそれを監視しています。「バレなければいい」という姿勢は危険であり、結局のところ「ルールをあまりに逸脱した行為はしない」ことが長期的に見て得策です。
  • 最新情報の収集: MS手法やリスク状況は刻一刻と変化します。米国のポイントフォーラムでは最新の状況が共有されていますので、英語に抵抗がなければ目を通すと良いでしょう。

最後に強調しておきたいのは、マニュファクチャード・スペンディングは「自己責任」の一言に尽きるということです。リスクを過小評価することなく、常に最悪の事態を想定した上で行動するようにしてください。


まとめ: マニュファクチャード・スペンディング(MS)は、魅力的なテクニックですが、その代償やリスクは極めて大きいものです。初心者のうちは深入りすることのないよう十分ご注意ください​。

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